Decentralise事始
ここではDecentralised Webに関する情報を掲載しています。
Beaker Browserの使い方
Beaker Browserとdatプロトコルなどの非中央集権型のウェブについて簡単に説明する。
Beaker Browserは、非中央集権型のwebプロトコルDatをサポートしている次世代のブラウザだ。サーバーにデータを保存するのではなく、サイトの訪問者同士が互いにつながって、webサイトのデータを共有する。
現時点(2018年9月)ではまだ実験段階だが、サーバーを用意しなくても簡単にwebサイトを作成できるほか、Markdownで記述したファイルをwebページとして表示するなどの機能が備わっている。
ユーザー同士のファイル共有によってネットワークを作り出すものなので、ブラウザを閉じているときにはデータ共有ができない。
この問題を解決するのが、hashbaseだ。ファイルをアップロードして、オンライン上にwebサイトを保存する。dat形式だけではなく、http形式でサイトのミラーリングを行うので、beaker browserをインストールしなくてもサイトが閲覧できるようになる。
とはいっても、ユーザー間でデータを共有し合うのが元々のコンセプトなので、ローカルにデータを保存してもらえると助かる。(今見ているサイトを、どの程度の期間ローカルに保存するのかというオプションがある)
相互リンクをすると同時に、互いのwebサイトのキャッシュを保存し合うP2Pフレンズになろうぜ!
静的サイトジェネレータHugoで出力したファイルでも大丈夫だったが、使うテーマによってはDatアドレスが安全ではないURLだと判断されてしまう場合がある。その場合はlayoutsフォルダにあるファイルに「| safeURL」と追記することで対処する。
詳しくは下記のURLを参考。
https://gohugo.io/functions/safeurl/
書式がテーマによって異なっているが、baseURLの後ろに付け加えれば大丈夫なはずだ。
The dream of the 90s Web is alive in P2Pland.
上記のフレーズはBeaker Browserのfreenodeチャットからの引用だ。
90年代のインターネットが、ここにある!
私たちが90年代にインターネットに対して夢見た世界と、SNSの普及と大企業の独占によって変わってしまう前の光景が、P2Pネットワーク技術によってよみがえる。
開発チームからしてこの調子なので、このブログも手作り時代のインターネットに敬意を払って運営していきたいものだ。
90年代といってもただの回顧ではない。かつてインターネットは自分たちのものだった。ホームページも何もかも自分の手で作らなければならなかった。YoutubeもSNSも便利なものは無く、不便な世界だったし、過去を美化しているだけなのかもしれない。でも確かに自分たちの手でインターネットを作っているという手応えがあった。
これまでは娯楽を受動的に受け取っていた。テレビにせよ、新聞や本にしろ、ゲームにしろ、あらかじめ誰かに作られたものを与えられるだけだった。インターネットの何が革新的だったのかというと、ディスプレイの向こう側に手を突っ込んで、自分でインターネットを変えていけることだった。
その時代に比べたら技術は進歩して便利になった。回線速度も速くなり、フルHDの動画もストレス無く鑑賞できる。自分がわざわざやらなくても企業が全部お膳立てを整えてくれる。何も考えずにタイムラインに流れてくるものを見て、気に入ったものにいいねボタンを押していれば、それなりに時間が潰せる。
だがそれでは不満だった。私たちはもう今のWebにうんざりしている。 アップデートするたびに余計な機能が増えていく。画面が広告で埋まり、個人情報を吸い取られる。ゾンビみたいな表情でスマホをスクロールして、口を半開きにしながらインターネットをしている。ニュースサイトを見て、この世界がわかったようなコメントをして、生産性のない言い争いで人生を浪費する。
インターネット普及前の、だらだらとテレビを見ていたころに戻ってしまった。問題はそれよりもっと悪いのかもしれない。
新しい試みに対して、文句を言うのは簡単だ。こんなものは現実的ではないし、日本では流行らない。なんで他に便利なサービスがあるのにわざわざこんなことをしているの?
しかし文句ばかりを口にするのは私たちの流儀ではない。自分にとって望ましい世界を、自分の手で作っていくことがオープンwebのあるべき姿だ。
確かにDecentralised Webの現状は、お世辞にも恵まれているとは言えない。中央集権型サービスの方が人が多くて便利だ。実際に根付くかどうかも現時点では不透明だし、Web2.0の使いにくいイミテーションだと言っても反論はできないが、ここには確かなビジョンがある。ビジョンが人を幸福にするわけではないし、必ずしも成功するとは言えない。だが今使っているインターネットも、いつか誰かが夢見ていたものだ。
Decentralised Webに触れるのは、今この瞬間に生まれつつあるインターネットの夢に触れることでもある。これから私たちが使うのは、ただのプログラムやアプリ、サービスではない。プログラマたちが思い描いた理想のインターネットを現実化したものだ。
今すぐインストールしよう! Beaker Browser! そのうちFirefoxもDatプロトコルに対応するはずだ。(※現時点では実験版)
disroot
Disrootのどこがいいのかというと、サービスに使われている写真が暴動デモだという点だ。私は以前より火炎瓶と催涙ガスが飛び交い、人々が盾を持った国家権力の狗に追われているようなデモに参加するのが夢だった。根っからお祭り好きの体質だったが、日本でのデモは「暴力行為はやめてください」とアナウンスがかかる。特に政治的主張もないけど、広場で権力者を模したマネキンを燃やして、そのデモクラティック・キャンプファイアーをみんなで囲いたい。炎を見るとテンションが高くなるよね。
Disrootは非中央集権型のサービスを一括で登録できる。Googleアカウントを作成すると、自動的にメールやクラウドストレージなどがつかえるようになるが、その中央集権版といった趣だ。ただしdiaspora*は自分でアカウントを作る必要がある。
ボランティアで運営されているため安定的な運営ができるのかは不透明だが、前述のように至るところに暴動デモ画像が貼られている。この反骨精神の塊のようなデザインが琴線に触れたので紹介する。
早速登録しよう!と言いたいのだが、スパム野郎と病んだ意図を持ったユーザーの食い物にされてしまい、新規登録が一時中止になっている。プライバシーに配慮した運営思想が逆手に取られてしまい、現在ではスパム野郎討伐計画が進行中だ。
XMPP
XMPPかんたん!……でもない使い方ガイド。 - Maborotopia
riot.im & Matrix、signalなどのメッセンジャー。
Riot.imは、signalと同じ暗号化アルゴリズムを採用している。デスクトップ、Windows、Mac、Linux、スマホなどで同じように使える。アカウントを登録するときに電話番号を入力しなくてもいい(つまり完全に匿名で利用できる)、オープンソース、脱中央集権のP2P設計、堅牢な暗号化技術といった特徴がある。
Edward Snowden御用達! Signal!
オープンウィスパーシステムによるEnd-to-End形式の暗号アルゴリズムを採用している。具体的にどういうことなのかというと、システムの管理者にもメッセージの検閲ができない。メッセージの自己破壊機能がある。Lineみたいに自殺などの不適切な発言が運営にチェックされることもなければ、スクリーンショット保護機能がついているのでLineみたいにキャプチャ画像が流出することもないし、シンプルなUIでLineみたいにメッセンジャー以外の余計な機能がついていない。
Signal唯一の懸念材料は、登録する際に電話番号が求められる点だ。万が一自分の電話番号が漏れてしまったらそこから個人情報が割れるかもしれない、という可能性が僅かながら残っている。
検閲不可能な暗号化技術なら、アルゴリズムのレベルで表現の自由を守れる。
日本が情報検閲を強化してて言論の自由を抑圧したのだとしても、検閲の禁止を踏みにじる蛮行が行われるのだとしても、日本が健全な民主主義国家で無くなるとしても、暗号化アルゴリズムだけは私たちを裏切らない。検閲の禁止を実現する暗号化アルゴリズムこそが我々の憲法だ。
信頼できるセキュアなメッセンジャーアプリこそが、我々の言論の自由を守る最後の砦だ。共謀罪の時には「Lineなんて使っていないで今すぐにTelegramかSignalに乗り換えるんだ」ぐらいのことは言っていた気がする。
別にRiot.imでなくてもいいのだが、プライバシーに配慮したセキュアなメッセンジャーアプリを使いたいと思っている。が、メッセンジャーアプリには通信相手が必要なことを忘れていた。
参考・Comparison of instant messaging clients #Secure messengers
メッセンジャーアプリのセキュリティ比較。