配列沼入門


最初に

私は配列沼という特殊なジャンルのおたくをやっている。この記事は「日本語入力を効率化して、気持ち良く、楽に文章を書けるようになるための情報」をまとめてある。書かれていることを実践すれば、1.7倍の効率で文章を書けるようになったり、指に掛かる負担を減らして腱鞘炎を予防できるようになる。
私はパソコンに付属していた安いメンブレンキーボードで、なおかつQwerty配列という非効率極まる環境で文章を打っていたせいで、腱鞘炎になったという経緯がある。
そのせいでなるべく指に負担が掛からないように文章を書けるようにする必要があった。指が痛くなってからでは遅いので、その前に効率的な日本語入力環境を整えて欲しいと願っている。

・適切な日本語配列を選ぶ。
配列沼はマニアックだけど複雑ではない。「よく使う文字を、もっとも楽に打てる場所に置く」という原理に従っているからだ。しかし今現在、私たちが使っている日本語配列には合理性の欠片もない。
主流なのはローマ字入力だが、左小指に母音のaがある。日本語を入力するときに一番使う文字が、もっとも弱い小指に割り当てられている。
かな入力は日本語でよく使う「う」が四段目にあって、「ん」という頻度の高い文字が指の負担が大きいYの位置にある。拷問みたいな配列だ。
こういった非合理に抵抗して、効率的な配列を探求するのが配列沼だ。効率的な日本語入力を求めると、自然と配列沼に引き寄せられることになる。
長文を書くためには適切な日本語配列を習得した方がいい。Qwerty配列は非効率的で長文を書く用途には向いていない。ローマ字入力でかな入力と同じ量の文章を書く場合には、ざっくり言って1.7倍多くキーを叩かなければならない。単純計算で10000文字と17000文字の違いだ。指に掛かる負担と生産性に大きな差がある。
習得するには時間が掛かるが、日常的に文章を書いている人の場合はすぐに習得コストを上回る利益を享受できるはずだ。
適切な日本語配列を覚えると文章を書くことが楽しくなる。少ない運指で多くの文章を書けるようになり、指への負担も減る。ママチャリでは遠出するのは辛いけれど、ロードバイクに乗っていると意味も無く自転車を漕ぎたくなるのと同じだ。
非効率的なQwerty配列やかな入力を投げ捨てて、日本語を楽しく入力できるようにしよう。その目的のためにだけこの文章を書いている。

配列沼リンク集
配列沼に関する記事へのリンクを張っておく。一通り読むだけで、日本語配列沼の住人に必要な基礎知識は習得できるはずだ。


配列変更ソフトウェア
配列変更には下記のプログラムを使用する。
最初はDvorakJを使うのをおすすめする。インストールすれば、プリセットで様々な配列が入ってるので導入が容易だからだ。

新JIS配列を覚えよう!
個人的なおすすめ配列は「新JIS配列」だ。Qwerty配列に比べると習得も容易で、心地よく入力できる。いまの非効率的なかな入力のかわりにデファクトスタンダードになるために開発されたものだったが、ワープロメーカーの足並みが揃わずに廃止されてしまった。不遇の日本語入力配列だ。
新JIS配列はすべての日本人が無理なく、ブラインドタッチで文章が入力できるように設計された配列だ。覚えやすく、シフトキーもひとつなので特別なキーボードも必要ない。ローマ字入力に比べると効率的に文章が入力できるようになる。一ヶ月も練習すれば実用的に使えるようになるはずだ。
これからタイピングを覚えようとする人は、新JIS配列から入門したほうがいい。もし不満が出てきても、新JIS配列を魔改造していけばいいので、別の配列に乗り換えるスイッチコストがほとんど発生しない。
デメリットは「外来語の入力がしにくいこと」と「右手小指の動きが多い」ことだが、気になり始めたら配列を偏向していけばいい。
いまの自分は、新JIS配列を親指シフト風にカスタマイズして、拗音拡張を加えた独自配列を使っている。何を言っているのかわからないと思うが、当然のことだ。スタンダードでありながら、思ったよりカスタマイズが効くのが新JIS配列だ。


親指シフトは草の根のサポートが比較的厚い

親指シフトは有名な日本語入力方法で自分も以前は使っていたが、洗練された入力方法では無い。Qwerty配列に比べると効率的だが、頻出文字を小指で打たないといけないし、連続シフトもない。
ただ、他の独自配列に比べるとユーザー数が圧倒的に多い。富士通は親指シフトのサポートを終了してしまったが、熱心な愛用者が多く、草の根のサポートが手厚い。
Pomeraシリーズでもサポートされてるため、他の配列に比べると敷居が低い。その点を評価して「多少の効率の悪さに目をつむれるのなら、親指シフトでも大丈夫」と考えている。

学習コストの低さを重視するならローマ字入力系の配列を使う。
ローマ字入力の長所は「かな入力に比べると学習するコストが低い」ことだ。既存のQwerty配列とは違い、指に掛かる負担が少なくなるように設計されている。
個人的には「けいならべ」か「カタナ式」のいずれかが良いと思う。けいならべはホームポジションを重視していて、カタナ式は強い指だけを使って文章を打つという設計思想の違いがある。
ローマ字入力系の配列には様々なバリエーションがあるが、「よく使う文字が打ちやすい場所にある」という原理が守られていれば、あとは使用者の好みで決めていい。

##・文章を書く環境を整える。
配列を変えることだけが、文章入力を効率化する手段では無い。
適切なテキストエディタや日本語IME、辞書を整備することでより気持ち良く文章が書けるようになる。

・テキストエディタを選ぶ。
自分はMeryというテキストエディタを使っている。
長い文章を書くときには、アウトラインエディタを使うと編集が楽になる。Meryは標準でアウトライン機能が搭載されていて、なおかつ.txtファイルとして扱える。それ以外にも高機能なエディタだ。

・日本語IMEと辞書を選ぶ。
無料ならGoogle日本語入力だが、辞書の豊富なATOKの方が私は好きだ。ATOKは辞書を追加していけるのが優れていて、国語辞典や類語辞書、各種英語辞典を素早く検索できる。

メカニカルキーボードを選ぶ
メカニカルキーボードは指に掛かる負担が少なくなるので、格段に文章が打ちやすくなる。ノートパソコンなどで使われている平べったいキーボードはパンタグラフ方式と呼ばれている。このタイプは押すのは楽だけど、長時間文章を書くのには適していない。叩いたときの衝撃を直接指で受け止めないといけないので、手の疲労感が大きくなる。
その点、メカニカルキーボードにはバネが仕込んであるので、指を押し戻して衝撃を和らげてくれる。
有名なのはHHKBやReal forceだ。ただ軸の種類が豊富で、自作キーボード沼に嵌まる可能性も高い。価格は高いが、文章を書くのが趣味なら投資するべき価値がある。

私が使っているのはエレコムのゲーミングキーボードた。
比較的安価で、入門用には十分な性能を持っている。右手のホームポジションを右に二列ずらすと親指シフトがやりやすい。