こりゃ英和を購入した。


英文に日本語のルビをつけてくれる訳振りパッドが目当てだ。英文読解に費やす労力のほとんどは単語を辞書で引くことだ。クリックで電子辞書を検索できるようになっても、クッキークリッカーのごとく延々と見知らぬ単語をクリックしなければならない。ボタン一つで仕事が終わるようなら、今度はボタンを押し続けることが仕事になる。
英単語を見て、これは日本語でこういう意味だよね、と読解するまでに若干のタイムラグがあって、漢字を読むようにダイレクトに読めない。
訳振りパッドは便利なツールで、辞書引きの労力を大幅に削減してくれる。まず使われている単語から文章全体の雰囲気を感じ取ってから、実際の英文を読んでいく。

翻訳ツールの日本語翻訳機能はまったく役に立たない。自然な日本語に翻訳してくれるというgoogle Translateでも問題は変わらない。ちょっとした文章ならそれなりの日本語訳がアウトプットされるのだが、オピニオン欄を突っ込むととたんにしどろもどろな怪しい和訳になる。英文と日本語訳を突き合わせて、間違い探しをしながら英文読解をするのは脳に負担がかかりすぎる。

・英文読解界のドラゴンであるところのThe GuardianのLong Read。

The GuardianのThe long readは、ただでさえ長い、構文が複雑、語彙が難しい英字新聞の難関が複合的に重なり合っていて、おれはドラゴン扱いしている。このドラゴンと戦っても精神的に疲弊せずに、日常的に読めるようになるまでがおれの目的だ。古来より宝を守っている守護者は竜であると相場が決まっている。guardianが民主主義の守護者であると同時に、叡智を人々から守る竜でもある。我々はこのガーディアンと戦うのだ。
The race to build the world’s first sex robot | Technology | The Guardian
これはセックスロボット開発競争の記事だが、下世話な話ではない。読み込んでいる間にこれが、己の夢と理想を追求する男たちの物語であり、プロジェクトXであり、下町企業がロケットを作る話に感動する精神を持ち合わせているのならきっと共感してもらえるだろうオーソドックスなストーリーだ。作っているのがロケットかセックスロボットの違いだけだ。
「僕の目的はとてもシンプルさ。みんなを笑顔にすることだよ!」

A suicide in Gaza | News | The Guardian
パレスチナに生まれた若者が自分の将来に絶望して自殺していく話は泣ける。
俺たちが目指しているのは、外国人に英語で道案内ができるような人間ではない。それはGoogle mapで代用できる。異なった言語文化圏に闖入し、奴らが積み重ねた知識も見識もすべて奪い去る気持ちが大切だ。英国博物館には植民地時代に各国から略奪された美術品が展示されているが、おれたちは奴らから言葉を奪い取る。そうして日本語をより豊富なものにしていく。
このような盗賊主義的な英語教育が必要だ。奪え! 殺せ! 何もかも焼き払え!