コトノハ配列システム


コトノハ配列システムは、新JIS配列をベースにした日本語入力配列の総称です。
「コトノハ配列」ではなくて「コトノハ配列システム」であるのには理由があります。ユーザーの手や使うキーボードなのどの入力環境によって、最適な日本語入力配列は異なります。完全な日本語配列を求めるのではなくて、「どんな環境でもそれなりに効率的に日本語を入力できるようにする」ために設計されたのが、コトノハ配列システムです。

・親指コトノハの配列
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・コトノハ配列システムのベースは「新JIS配列」です。
コトノハ配列システムは新JIS配列を元にして、センターシフトや親指シフトなどの様々な入力環境に最適化させることを目的としています。
新JIS配列をベースにしているので、別の配列に乗り換えるときの学習コストを最小限に抑えられることが、コトノハ配列システムの特徴です。キー配置の骨格が変わらないので、一部のキー配列を覚え直すだけで、親指シフトキーボードやセンターシフトしか使えないキーボードでも、コトノハ配列システムを使用することが可能であり、学習コストを最小限に抑えられます。

・硬い文体に強く、外来語に弱い
新JIS配列は「教科書や新聞のコラムを分析して得られたデータを元にして配列が生まれた」という経緯があります。新JIS配列をベースにしたコトノハ配列もその特徴を受け継いでいるため、「硬い文体に強く、外来語に弱い」配列になっています。
具体的には漢字の多い文章を書くときには指がなめらかに動きますが、カタカナ語を入力するときには運指が非効率的になります。
後述しますが、「推測変換キー」を用いることでこの欠点を緩和させています。

新JIS配列から始めよう。

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コトノハ配列システムは拗音入力補助などの様々な機能がありますが、そのせいで学習コストが高くなっているのが欠点です。まずは基本となる新JIS配列から覚えていきましょう。
詳しくはhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0JIS%E9%85%8D%E5%88%97を参考にしてください。

新JIS配列のさまざまな派生を知ろう。

・月配列
新JIS配列には「月配列」という派生版があります。
月配列は2chで生まれた日本語入力配列で、新JIS配列に中指シフトを組み合わせたものです。

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多くのユーザーによって様々な改良版が生まれているのは、「新JIS配列は完成度が高く、ニーズに合わせて配列をカスタマイズできる」という特質があるからです。
コトノハ配列システムも「新JIS配列を元にして、より汎用性の高い日本語配列を生み出す」ことや「キーボードに合わせ、最適な配列を考案する」という点で影響を受けています。

新月JIS配列

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「新月JIS配列」はセンターシフト方式の日本語入力配列です。
新JIS配列に月配列のエッセンスを取り入れるために作った名残で「新月JIS配列」と呼んでいます。
・配列を整理することで、新JIS配列の短所である「右手小指の可動範囲が広い」という問題を解消しています。
・「濁音キー」を前置方式にして、バ行を二打で打てるようにしました。「センターシフト+あ」で「べ」と入力できます。
元の新JIS配列に比べて変則的ですが、打鍵数を節約できます。
・「゜(半濁音キー)」を前置方式にして、パ行とァ行の捨て仮名を打てるようにしました。
・手の動きを最小限に抑えるために、新JIS配列のシンプルさを犠牲にしています。

・親指新JIS配列

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新JIS配列と親指シフトを融合した日本語配列です。
親指シフトは、親指に割り当てられた二つのキーを使って効率的に日本語を入力できます。二つの配列の長所を取り入れたのが「親指新JIS配列」です。
「濁音キーを右シフトに割り振り、右手外側にあった打ちにくいキーを移動させる」というシンプルな変更にとどめており、新JIS配列からの移行は容易です。
オリジナルの新JIS配列に比べると、手のばたつきが少なくなって文章を入力しやすくなります。

コトノハ配列システム

コトノハ配列システムは、前述の新JIS配列をベースにした配列に、拗音入力補助を加えた日本語入力配列です。新JIS配列とは異なる配列になったために「コトノハ配列システム」と呼ぶことにしました。
親指シフト用の「親指コトノハ」と、センターシフト用の「コトノハ・センターシフト」があります。

コトノハ配列システムの特徴

・「コトノハ拗音入力マトリクス」
「コトノハ拗音入力マトリクス」は、コトノハ配列システムで使われる拗音入力補助です。「しゃ、しゅ、しょ」などの文字をリズミカルに入力することできるようになります。

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・「推測変換」キー
コトノハ配列システムには「推測変換キー」があり、よく使うフレーズや外来語の入力を省力化できます。新JIS配列は外来語の入力に弱いという欠点がありますが、推測変換を多用することで入力のしにくさを緩和できます。
・より快適に入力するために、「Caps Lock」をスペースに入れ替えています。
・基本的には前置シフト方式ですが、同時押し入力にも対応しています。
・最上段のキー配列は未定かつ適当なので、好きな文字を入れてください。

「親指コトノハ」

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「親指コトノハ」は指に負担を掛けにくい持久型配列です。
「親指新JIS配列」を発展させ、長時間の文章執筆に耐えうる持久型の日本語配列として設計しました。
制作者は右手の人差し指が腱鞘炎です。長い間タイピングをしていると腱鞘炎が再発するため、指に掛かる負担の軽減を最優先にして配列を調整しています。
・派生版として、orzレイアウト化した「親指コトノハorz」があります。右手キーを二つ分ずらすと、エンターキーやBSが右小指のすぐ近くにあって使いやすくなります。
現在、メインで使っているのは「親指コトノハorz」です。

「コトノハ・センターシフト」

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「コトノハ・センターシフト」はあらゆるキーボード環境に対応するために生まれた日本語入力配列です。スペースバーしか使えないキーボードでも、最小限の移行コストでコトノハ配列システムを使えるようにするのがコンセプトにしています。
「今後、親指シフトに適したキーボードが使えなくなってしまったとき」を想定して設計しました。
・現時点ではまだ試作版です。

・まとめ――日本語入力配列の作り方

コトノハ配列システムは、私の指にとって最適な日本語入力配列です。
日本語入力配列としてはマニアックで、覚える内容も多く、習熟には時間が掛かるでしょう。興味がある方は、新JIS配列から習得することを強くおすすめします。この配列に不満が出てきたときや、もっと効率的に文章を入力したいと思ったときに、すこしずつ配列を変えていきましょう。
おすすめは「新JIS配列」→「親指新JIS配列」→「親指コトノハ」です。

完成した配列を見せるだけでは、「なぜその配列になったのか?」という思考の軌跡がわかりません。新JIS配列を使っていてどのような不満が生まれ、どういった試行錯誤を重ねて現在の配列になったのかを説明するために、新JIS配列や月配列、親指シフトに言及しました。
複雑に見える配列ですが、「よく使うキーを打ちやすい位置に置く」「入力を省力化する」「指に負担を掛けないようにする」といった原則を突き詰めていった結果、今の形になりました。
日本語入力配列に正解はありません。自分の指がどう動くのかによって最適な配列は変わります。大事なのは「どの配列がもっとも効率がいいのか?」ではなくて、「どういう配列なら楽しく文章を書けるか?」です。自分の手の大きさや指の運動性能、負担を掛けたくないところ等の要素を考慮して、「自分の指にあった配列を、オーダーメイドで設計していく」ことが配列沼の醍醐味だと私は考えています。
コトノハ配列システムは私にとっての最適解であり、あなたにとっては非効率な配列かも知れません。今後、配列沼に嵌まって抜け出せなくなることもあるかと思いますが、そのときには「誰がなんと言おうが、このキー配置のほうが自分は好きだ」という衝動に従ってください。その「好き」やフィーリングの積み重ねが、私やあなたにとってのオリジナルな配列になるはずです。
ではまた、配列沼の底で会いましょう。