将棋日記


・将棋を指していた。超絶初心者なので、なんども覚えようとして挫折している。
 定跡がわからない問題、四間飛車と美濃囲いを覚えても攻めの手筋が分からないので、膠着状態を強いられながらじわじわと殺されていく問題。戦型対応できない問題に、意識の外から角が跳んできて大駒を奪われる問題、初歩的な戦法を覚えてもすでに対策されていて、最初から対策の対策の対策ぐらいを覚えていないと指せない問題などの、様々な課題が立ちはだかる。
 それを乗り越えて定跡を覚え、運良く「先手大いに優勢です」という局面までたどりつけるようになった。だが、ここからどうやって寄せていくのか、どうすれば詰められるのかが分からないので難儀している。
 玉を詰めようにも、駒の隙間から王が逃げ出していく。美濃囲いが堅くて攻められない。なんか雰囲気的に詰められそうな気がするが、詰め筋が分からない。そんな間にも時間切れで負けてしまう。中盤から終盤の棋力が20級も無い感じがする。
初心者限定で、「王は詰めを三回まで耐えられる」とか「墓地にある駒を永久にゲームから除去する」とか「新駒・狂信者。周囲1マスの敵味方を道連れにして自爆する駒」「パッシブスキル・オート三手詰め」などがないと勝負にならない。初期配置・穴熊とかも欲しい。

それといまいち世界観がわからん。世界大百科事典によると、

駒は中国や朝鮮は円形や八角形で,長五角形の駒の形は日本独特のものである。駒に文字を記して識別するのは中国,朝鮮と日本だけであるが,金,銀,桂,香,玉は珍品佳宝をあらわす形容詞なので,本来の駒の名称は将,馬,車,兵であった。
世界大百科辞典より

……と記載されている。どちらかといえば宝石の国寄りな世界観なのかもしれないが、角行の起源がわからなかった。

将棋日記2
定跡書を読み込んで、相懸かり棒銀・矢倉棒銀などを覚える。(まだ振り飛車対策と角がわり棒銀がわからない)

将棋日記3
延々と奇襲戦法を指している。
四間飛車や居飛車棒銀などのメジャーな戦法は、初心者でも対策済みで致命傷を与えられない。そんなおれが活路を見出したのは、地下鉄飛車・9筋の端棒銀攻めの奇襲戦法だった。居玉のままのノーガードで殴る。将棋初心者のおれは攻撃しか考えられない。

将棋日記4
将棋の定跡本を読んでいる。
銀冠天守閣というよりもラプンツェルの塔って感じがする。
初めのうちはカウンター狙いで相手に返し技を食らわせる穏やかな棋風がいいなと思っていたが、棒銀で全てを殴り殺すスパルタンな棋風になってしまった。棒銀で殺す。それがダメなら斜め銀で転戦しながら殺す。対振り飛車美濃囲いは端攻めで殺す。矢倉囲いも端攻めで殺す。殺す、ぶっ殺すという塩梅だ。

繊細な心理描写を積み重ねる百合漫画みたいな駆け引きをおれは求めていたのに、これじゃ改造トラックで集落に特攻を仕掛けてくるモヒカン軍団だ。
これ以上は学習コストをかけても効率的ではないような気がした。振り飛車と居飛車は両方選べない。お前はこれから険しく辛いポストアポカリプスの略奪集団のような将棋を指し続けるんだよ。

あと戦法の流行廃りが激しすぎて人間の国って感じがした。昭和の定石書でどうにかしている囲碁とはえらい違いである。戦法が言葉によって詳細に分類されているのも、人間の遊戯という感じがする。将棋をそこそこ覚えたときの第一の感想が、人間の国だった。言語によって記述でき、言語によって分類ができる、言語性優位の遊戯で、やっぱり人間の国は複雑怪奇だ。

将棋は指す相手も教えてくれる相手もいないので、KGSで外人相手に囲碁を打つことのほうが多くなった。身近に対戦してくれる人がいれば再開するかもしれない。