・ようじょ異世界


デッドオアアライブな異世界に転生したくない。頭の緩い、心の優しい幼女しかいなくて、世界を脅かす魔獣は猫サイズの可愛い生き物でほぼ人畜無害で、「お花が枯れちゃったよう……」「お花を荒らしにまいにちネコがやってくるの!」「おなかが空いてるだけだよ」「じゃあ、まほうでおかしをいっぱい出すよ!」「にゃー(※魔獣ねこと仲良くなる)」「わー、いせかいから来たひとってすごーい! わたし、おおきくなったらおよめさんになるのー!」「ずるーい、わたしもー!」「にゃー!(※魔獣ネコ)」みたいな、完全にゼロストレスな異世界に転生したかった。
 でも謎めいたロリババアがいて、この異世界にたどり着いた人間はみな幼女になり、幼女は最後には花になるという真実を知らされる。花に満ち溢れた常春の王国はみな、かつては人間だったのだ。
 ここは幼女が幸せに暮らしている異世界なんかじゃない。人生に疲れたおっさんが幼女や花になっていくだけの世界だ。お前たちは本当の幼女などではない。自分がおっさんであることを忘れたただの異常者だ。
 でも俺はそれでもいいかな、と思ったりする。そして幼女たちと共に暮らしているうちに、徐々に俺も幼女になっていく。お花さんも小鳥さんもみんなお友達になって、この異世界で幸福感に満ち足りて死んでいくんだ。