インターネットクエスト


・インターネットの使い方・精霊編。

インターネットは様々な種類の精霊によって支えられている。WWWの精霊、ハイパーテキストリンクの精霊、無線LANの精霊、OSの精霊、CPUの精霊、オープンソースの精霊などの超自然的な存在によって、この世界の秩序が保たれている。インターネットユーザーは精霊に祈りを捧げ、その力を呪術的媒体に宿すことによって奇跡を為す。それがインターネットを使うということだ。(※デバイスにプログラムをインストールし、起動することでさまざまなことができるようになる)
力を持った呪術師(プログラマ)は常人には理解できない言葉を操り、インターネットの精霊に祈り(コーディング)を捧げる。その祈りから新しい精霊が生まれる。悪しきものから生まれた精霊はインターネットを欲望で蝕んでいき、善き呪術師(プログラマ)によって生まれた精霊は世界を健やかにする。
GoogleやFacebookは邪神である。彼らは我々に強力な力を与えてくれるが、それは個人情報を生け贄に捧げなければならない。彼らは資本主義の精霊と結託し、無尽蔵に資金を集め、それを原動力にしてインターネット上で更なる力を得る。GAFAの四騎士がインターネットを支配することで、古きインターネットの精霊は力を失い、その命脈が尽きんとしていた……。
これがいままでのおおまかなあらすじだ。ファイナルファンタジーでクリスタルの力が失われつつあるというのと似た感じの世界観だと思ってもられば間違いは無いだろう。
あなたはこれからインターネットを司る精霊たちのもとを訪れ、彼らと盟約を結び、古きインターネットの力を手に入れなければならない。Linuxの精霊、オープンソースの精霊、ゼロ年代エロゲーの精霊、ダークウェブの精霊、分散化SNSの精霊といった諸力を司る偉大なる力と盟約を結び、その恩恵を授かる。
それがインターネットを使うということだ。


・インターネットダンジョン攻略編

インターネット上での政治的な発言からは距離を置いている。それはなにもおれがノンポリの政治的アパシー野郎になったわけではない。敵と距離を置いて近接戦闘を極力回避することが、ローグライクダンジョンおよびにインターネットで生き残るための攻略法だからに他ならない。
インターネットとは現代社会の迷宮である。ダンジョンには危険な魑魅魍魎が跋扈しているのが習わしだ。大切なことはいかにして迷宮に蠢くモンスターどもから逃れるのかであり、真っ正面から戦って勝つことでは無い。
ローグライクダンジョンにおいて、敵との距離イコール寿命である。頑張ってレベルを上げれば敵を倒せるというようなゲームバランスにはなっていない。雑魚を一匹殺すごとに満身創痍に追い込まれる。いかにして戦闘を回避して敵をやり過ごすのかがユーザーには求められる。
インターネット上での政治的な話題も、同様の戦略が採用できる。インターネットダンジョンを彷徨するユーザーの多くは、長年にわたって政治的な発言を繰り返すことによってモンスターと化している。さまようよろいのように自民党政権を攻撃し、くさったしたいのように口から民族差別ヘイトをぶちまける。戦いになれば仲間を呼び、フェイクニュースの魔法を使って幻影を生み出す。論戦を挑んでも勝ち目は無い。アンデッド属性のモンスターを殺せないのと同じように、イデオロギーの亡霊に取り憑かれた人間を論破することは不可能だ。戦っている間に自分自身がインターネットダンジョンを徘徊するモンスターの一匹になってしまう。
長いことインターネットに接していると、魂を蝕まれ、人間の形を少しずつ喪失していく。始めはSNSなどで政治的なシェアやリツイートが増えていき、最後には敵を殲滅するまで止まらない狂戦士と化す。それだけではなく、IT企業に注意力(アテンション)を奪われて広告を見せられるだけの養分になったり、ソシャゲー中毒になったり、Facebookに個人情報を吸収されたり、フェイクニュースで混乱させられる危険性があるという点では、インターネットはダンジョンであると断言できる。
我々の目的はモンスターと戦って勝つことでは無く、地下からイェンダーの魔除けを持ち帰ることだ。汝らの武運を祈る。


・facebookダミーアカウント登録黙示録

人間はひとつの名前を持ち、ひとつの統合された自我を持ち、社会的に逸脱しないかぎりの人格以外は認められないという西洋的近代自我のありかたを、西洋のIT企業によって押し付けられているのではないのか?……というようなことを思っていた。
Facebook的アイデンティティーと呼んでいるのだけど、プラットフォーム企業が作った「人間として正しいあり方」に従って自分自身を成型していくようなプロセスがある。
明治時代に日本が近代化したさいに、西洋のキリスト教や合理主義的な価値観や道徳観が入り込んできて、そのことで古い性習慣や道徳観が野蛮なものとして排斥された。それと同じように、西洋の人間観で作られたSNSやサービスが普及して、近代の西洋的な人格のあり方がスタンダードになりつつある。
このブログを書くときの数少ないルールは、人格の一貫性を保たないことで、その日の気分と感覚と書く文章の内容によって一人称が入れ替われる。一貫性があって論理的に整合性の取れている人格は、西洋絵画で言うと正確な遠近法で描かれている風景画に近い。そうではなくて、浮世絵やキュビズム的な人格があってもおかしくない。一人の人間がひとつの実名アカウントしか持てないのはつまらない。
そんなのは一企業の横暴だ。我々は現実とは異なるアイデンティティーを持つ権利がある。そう思った我々はFacebookでダミーアカウントを作るために四苦八苦していた。
AIで生成された顔やXvideosから切り出したAV男優の顔とフリーのSMSを使ってダミーアカウントを作成しようとしているのだが、ことごとく却下されてしまう。真名と顔写真の両方を差し出したら、呪術のターゲットになっても文句は言えない。デスノートの発動条件にもなる。
実名制と顔写真。この二つが混じり合ったときに人間は限りなくフラジャイルになる。個人情報を差し出し、自分が何者であるのかが明確になればなるほど、広告のターゲッティングは精度を増す。それを避けるためにはダミー情報を流して、アルゴリズムを混乱させる必要がある。
偽の情報を流して自分が誰なのかを特定させないことは、呪術的防衛の基本だ。人間はこの世界を言葉によって把握する。蛇が己の姿を草木に潜ませるように、言葉で自らの本質を隠せ。あるいは毒カエルが禍々しい色彩で恐怖を与えるように、言葉によってイメージを増幅させろ。人間が観ているのは実体では無くて言葉だ。呪術に秀でたものは自らを小石よりも小さく見せることも、その反対もできる。……と、岩手の呪術師に教わった。
あたいは8歳のプリティーリトルガール☆ 今日はコヨーテの精霊が宿ったペニスケースをダディからもらったけれども、独力でバッファローを狩って一人前の戦士として認められないと装着することはできないんだ♪ あたいも早く部族を率いる勇敢な戦士になりたいな☆
……といった案配だ。ダミー情報を流す中で自分が本当に8歳のプリティリトルガールだと錯覚し始めてからが本番だ。
facebookがすこしデザインの整った外国のmixi程度であれば何も問題は無かった。便利なツールを作ってくれたお礼にちょっとぐらいの広告なら我慢してやるよ、と構えていられたはずだった。しかしfacebookが社会のインフラになり、フェイクニュースの温床になり、選挙結果を左右し、社会の分断を煽り、個人情報を分析してより精度の高い広告ターゲッティングを行うのなら話は別だ。
そして今日もまたダミーアカウントが凍結された。


・存在しない人間入門

Frederik Davidsen

みんな、はじめまして! このブログの管理人をしているFrederik Davidsenです。
アメリカ合衆国の1482 Eagles Nest Drive Chico, CA 95926で暮らしている47歳です。誕生日は10月6日だよ!

Jens

この子は飼い猫のJens。ベッドの中にもぐり込んでくる可愛いいたずら子猫だ。
これらの情報はすべて下記のウェブサイトを用いて自動的に生み出されたもので、Frederik Davidsenなんて人間ははじめから存在しないんだ! みんなも架空のアイデンティティーを生み出して、インターネット上の個人情報を信頼の置けないものにしよう!


・メルカリ無間売買地獄

下手にメルカリやラクマなどで売ろうとすると余計な気苦労が発生する。
売れるまでのタイムラグ、値下げ要求のクソコメント対応、発送、入金待ち、ちゃんと商品が届いたのかどうか。取引が終了しても銀行に振り込むまでは自分の金ではない。「じゃあ売上金もできたし、何かお得な商品はないかな?」と思って新着商品を眺めていると、また無駄遣いをしてしまう。そして振出しに戻り、商品を出品する。これがメルカリ無間売買地獄である。
でもメルカリで売り買いするのはゲーム感覚で楽しいのも事実だ。交渉による値下げ攻防、売れるはずが無いと思っていたものが売れたときの快感。人間は元々ものが欲しくて交易を発達させたのでは無くて、取引それ自体が楽しかったから経済活動が活発になったとも言われている。ものを売買するのは中毒性がある。不要なものを売っていたはずが「ものが売れるのが楽しいから、そこまで不要ではないものでも出品する」という倒錯した価値観を抱いていたときもあった。
不要品を処分するには便利なツールだが、あるていど不要品が処分できたらアンインストールしたほうがいい。「メルカリならこのぐらいの値段で処分できるだろうから、無駄遣いしてもいいや」と思って財布のひもが緩み、安いだけのゴミが増える。
メルカリ無間地獄の住人になり、ゴミを買い、ゴミを売り続け、一割の手数料を運営に搾り取られるだけの養分になる。ものを売り、服を売り、素っ裸になった後には髪や歯、臓器を売り、最後には魂を売り渡すのがメルカリユーザーの末路だ。