SSSS.HISAHIRO METAVERSE


(※この文章および物語はフィクションです。登場人物、団体、事件はすべて架空のもので現実はいっさい関係ありません。ヒサヒロと悠仁親王は名前と顔が似ているような気もするけれども、架空の皇室制度の架空の人間だよ。ほんとうだって。おれをしんじてくれ。そうでないとおれは不敬罪で宮内庁と極右に殺されかねない)
・「国民と保守に求められる形の結婚をして、子供を作ってなおかつ男子を産む」のを期待される環境で育つの、よく考えるとすげーよな。おれがヒサヒロなら吐きそう。でもあいつも健全な男子だから、たぶんブルーアーカイブとかでオナニーしているはずだ。 秤アツコちゃんとか好きそう。
ヒサヒロ(秤アツコ)は皇室(アリウス分校)で唯一の男性皇位継承者(アリウススクワッド)である本物の皇子(お姫さま)なんだよね。でもその血統ゆえに大人(ベアトリーチェ)の策略に利用されて、生まれてからずっと自分の意志で道を選べない過酷な運命を背負わされているのである。
趣味は野菜(お花)を育てることも含めて、ヒサヒロが自己投影するのも無理はない設定である。
・男性皇族として男の世継ぎを孕ませなければならない。その重圧を受け続けたヒサヒロが、ストレスから逃れるために女体化催眠乳首オナニーアナル開発ドライオーガズム・メスイキフルコースメニューに没頭して、天皇の血筋が絶えてしまってもおかしくはない。そのリスクがあるので皇室典範を改正して、皇族数を確保しようとしている。絶滅危惧種のトキか何かか……?
・ヒサヒロがアナルオナニーでしか絶頂できない人間になるリスクや、ヤリチンヤンキーになってそのへんに天皇の子種をばらまく可能性を我々は軽視しすぎている。
リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)がヒサヒロには保障されていない。皇族といってもそのへんにいる男の子と変わりがないのである。むしろ「ヒサヒトのちんぽと射精はおれが守る!」と叫んでいるおれのほうが真の愛国心であると言っても過言ではない。

・もしかしたらVRChatの無言勢フレンドが、ヒサヒロである可能性も否定はできない。 現実での行動が制限されているヒサヒロにとって、VRChatで無言勢として振る舞っている瞬間だけが唯一の自由だった。ヘッドマウントディスプレイを被り、無言勢の真冬ちゃんとして頭を撫でられたり、現実で何をしていてどんな職業なのかわからないフレンドとゲームワールドやホラーワールドで遊んでいるときだけが、自分が皇族であることを忘れられる。ぼくのことをひとりの人間として扱ってくれる……。

・おれから「お砂糖にならない?」と言われたときに、ヒサヒロは「自分にはお砂糖は向いてないかな~」といつも通りにうやむやにしようとした。しかし今日はPVペンで文字を書く手が震え、いままでせき止めていた感情がとめどなく溢れはじめた。
「ぼくね、人を好きになったりしちゃダメなんだ……。その人のこと、苦しめてしまうから……。ぼくのおうちはすっごい厳しくて、お嫁さんになった人には男の子を産まないとダメだってぐらいの勢いでさ……ほんと時代後れだよね……。でもさ、逃げられくて、逃げ場なんてなくて……。好きになっても絶対に傷つけてしまうから、だから、最初から誰も好きにならないようにしないとって……」
アバターを纏っていて本当の自分を知るものはここには誰もいないから、生まれて初めて自分の本心を打ち明けたような気がする。
皇族のお嫁さんになったら「男子を産めるかどうか」で強い重圧に晒される。天皇制度の存続だけを見ていて、個人の苦しみや気持ちを無視して、踏みにじって、この国は動いている。そんなところに、ぼくは誰も巻き込みたくない。
「誰かを好きになるって、難しいよね……」
そう思って生きているあいだに、僕は誰をどうやって好きになったらいいのか、わからくなってしまった。

・おれはこれ以上、真冬のプライバシーには踏み込むことができずに話を聞くことしかできなかった。ビューポイントを手のひらで覆うように真冬の顔を撫でると、いつもの可愛らしい仕草でおれに甘えてくる。
おれたちはそのままチルワールドで添い寝をした。目を覚ますと真冬はログアウトをしていて、枕元には「ごめんね……。いままでありがとう……」と書き置きが残されていた。
その日から、仲の良かった無言勢の真冬ちゃんはおれの前から姿を消した。今までは毎日のようにログインしていたが、次の日も、その次の日も姿を見せず、オフラインの日数が長くなっていくのをソーシャルで眺めていることしかできなかった。
急に距離を詰めすぎて傷つけてしまったに違いないと、おれは後悔した。おれがお砂糖になりたいなんて言い出さなければ、いつも通りの関係が続いていたかも知れない。
それから数ヶ月後。現実ではヒサヒロ親皇が婚約したというニュースで持ちきりで、ニュースでは特番が流れていた。祝福を受けたヒサヒロが国民に向けて手を振る。その動作におれは、無言勢の真冬ちゃんがインスタンスを移動したり、ログアウトするときに見せる仕草を重ね合わせる。あのゆったりとしたリズムで腕を振ってさよならを告げる。
その動きにふと無言勢の真冬を思い出してしまい、胸が締め付けられた。