チンパンジーキングダムとボノボおじさんへの道


限界オタク成人男性から逃れる。

涼宮ハルヒのキョンみたいな斜に構えた態度が格好いいと思って、そのまま20年以上の歳月を重ねてしまったタイプのインターネットおじさんがめちゃくちゃ苦手である。2chまとめサイトの冷笑的な空気を日常的に吸い、他者を下に見る習慣を身につけることで弱い自尊心を守る。彼らは2chまとめサイトやニコニコのコメント欄で群れることを覚えて気が大きくなった。「自分たちは貶められてきた」という肥大化した被害者意識を持ちつつも、自らの加害性には無頓着である。その傾向はSNSのエコーチェンバーの中でさらに煮詰められていって、リポストで回ってくる政治思想や陰謀論をそのまま鵜呑みにする。映画や海外ゲームに黒人が起用されただけで、脊髄反射的に「ポリコレ(笑)」とか言ってしまう。酷くなると行儀がよろしくないSNSのコメント欄そのままの文字列を、現実社会でも口にするようになる。
学力は低くないものの、「この言葉を発したら、他の人はどのように解釈するのだろう?」という他者への想像力やソーシャルスキルが極端に欠落している。十代の頃に身につけてしまった子供じみた態度と、加齢による感受性の鈍さが化学反応を引き起こして精神の腐臭を漂わせているのである。おそらく本人はまだ自分が若い感性を持っていると思い込んでいる。
ホモソーシャルとミソジニーに満ちた電脳言論空間の空気を吸い続けていて、彼らの精神世界に存在する女性は「美少女」と「女さん(もしくは、まんさん)」の二種類しかいない。男性にとって都合良いだけの理想の美少女か、安心して叩ける歪んだ女性像しかない。どちらも男性の脳内で作り上げられたもので、そこに生身で人格のある女性像は存在しない。架空の美少女で射精をしたあとにSNSで女性叩きをして、また美少女でオナニーをし続けるサイクルの中で生きている。それだけならマシで末期になると現実社会でもコラボとかを攻撃したり、直球のセクハラをぶつけてくる。
それなのに「ぼくは愛されるべき存在なのに現実の女どもは見向きもしないどころか、口答えをしてくるよーーー、こいつらは全員、邪悪なフェミニストだよ、ふえーーーんん!」と泣き言を言っている。
こういう文化圏から生み出されるすべてのものに吐き気を催してしまい、Xの画面を開く度に限界オタク男性社会のキモい空気がスクリーンを通して部屋の中に入り込んでくるような気持ちになる。こういった理由があり、日本人のオタク男性の割合が多い界隈に恐怖と憎悪を抱いている。

当初は○○(※オタク男性の好みそうな趣味をそれぞれ代入してください)界隈は面倒くさいやつが多いという印象を抱いていたが、それは自分の間違いだった。日本人オタク男性が関わるすべての界隈が等しく穢れている。いや、オタク界隈だけではなくて、世界中の男性社会が有害なのかも知れないが、自分の知らない世界については憶測で語るのを控えたい。
オタクくんたちも当初は、「体育会系社会や陽キャのノリについていけないよ、ふえーーん!」と思って、日陰で石の裏に張り付くダンゴムシみたいに慎ましく暮らしてきた。だがダンゴムシ社会があまりにも大きくなりすぎてしまったために、今度は自分たちが駆除されるべき害虫になってしまった。おれはこのノリについて行けないから、ここではないどこかに逃れる。
今後はこういった限界オタク男性が多数棲息している界隈から離れるためにあらゆる努力を惜しまず、人間関係から遠ざかり、穏やかで言葉遣いが優しい人々の間で生きていきたい。

ミソジニーとか諸々。

アメリカのインセルは「性の再分配をしろ!」と叫び、中国は「有男不玩(男の出てくるゲームは遊ばねえ!)」と言い、韓国では「そのハンドサインは男性のペニスの小ささを侮辱している!」とブチ切れ、日本では女性の支援団体を妨害していたりする。
無差別殺人の犯人は男性が圧倒的に多く、交際を拒絶されたり別れ話を切り出されたりするだけで刺してくる。もしかするとリベンジポルノをオンラインで拡散されるかも知れない。支配欲の強さと自尊心の脆さを兼ね備えた化け物みたいなクリーチャーがいるので、男性と交際したり好意を持たれること自体がリスクである。そういう認識を抱いている。

日本にもかつて非モテ界隈があった。最初は「モテないけど、おもしろおかしく人生を楽しもうぜ!」ぐらいのノリだったものが、いつの間にか女性蔑視や差別、女性叩き、ミソジニーの淀んだ空気が蔓延していったのを覚えている。
ここにいたらモテる・モテない以前に人間として腐っていくに違いない! そう思ってわしはインターネット暗黒女性叩き界隈から足を洗ったのじゃよ……。
「※ただしイケメンに限る」といったネットミームがいつの間にか「だからおれたちは救われない」といった意味合いを帯び始め、閉じたマノスフィアの中で被害者妄想を募らせていく。モテないから憎悪する、憎悪するからモテない、モテないから更に憎悪を膨らませていく負のサイクルにオタクたちは呑み込まれていった……。

クリエイター側もオタクを甘やかすフィクションを作りだし、拒絶されずに済むシェルターのようなコンテンツが世に溢れた。なろう系ファンタジーでは圧倒的な力(チート)を手にして、挫折することなく敵を倒し、自分を絶対に拒絶することがない美少女に恋愛感情を向けられる。オタクくんの自尊心を守り、偽りの全能感を与えるテーマパークのようなコンテンツがいつの間にか異世界ファンタジーと呼ばれるようになった。
オタクくんが普段から触れる創作コンテンツからは他者が喪失し、自由意志を持ち、論理立てて喋ってくる自立した女性はすべて「フェミニスト」になった。ぼくを否定せずに受け入れて、自尊心とおちんちんのケアをしてくれるのが本当の女性である。それ以外は全員、政治的に偏向したフェミニストだ……!!!
本気でそう思っていそうだ。

その視点に立つと、「男性と交際することそのものがリスクである」という韓国の4B運動も納得がいく。変な男とついうっかり交際してしまい、面倒臭いやつだと思って別れようとしたらストーカー化して、最悪の場合には刺殺される。
2024年(令和6年)の全国ストーカー被害相談件数は19,567件、ストーカー規制法違反に基づく摘発件数は1,341件であり、加害者の8割は男性である。
おれも下手したら、感情をこじらせ、執着し、重い感情を受け止めてくれ!と迫り、拒絶されたら犠牲者ムーブで相手に責任を転嫁し、SNSなどに粘着し、ストーカー化する犯罪者クソ男ムーブをかましていた可能性もある。
現実問題として、こういうタイプの男性に行為を向けられる可能性に晒されているのは、怖すぎるっぴ……。

チンパンジーキングダムとボノボおじさんへの道

※このテキストでは、ホモ・サピエンスの持つ剥き出しの攻撃性や支配欲を戯画化するために「チンパンジー」という言葉を使用しているが、本物のチンパンジーには誠に申し訳無く思っている。
地球上に生きるすべてのチンパンジーに深く謝罪したい。

かつて友人だった同級生も久しぶりに再開したら、人間関係マウンティング・チンパンジー・タイプの人間になっていた。時の流れは残酷だ。昔はそんなやつではなかったのに……。
どうやら人間社会の一部部族はチンパンジー・キングダムの掟によって支配されているらしい。
人間関係で絶えずマウントを取っていないと安心できない。そんなヤンキー漫画みたいな世界で暮らしていると、普段の人間関係でも素直に謝れなくなったり、マウントを取り始めたり、攻撃性を発揮して威嚇行動を取ってチンパンジーみたいな生き方に近づいていく。
チンパンジーキングダム岩手では相手に舐められた瞬間に、群れのなかでの順位(ドミナンス・ヒエラルキー)の最底辺に転落してしまう。物腰の柔らかい人間は「こいつは無限に舐め腐ってもいい」という烙印が押されて軽く扱われ、有給を申請しただけでいやがらせで車のサイドミラーが破壊される(※伝聞)。
そんな暗黒のチンパンジー・キングダムから、絶対に自分の非を認めて謝れないおじさんが生まれる。弱さを見せることはチンパンジーキングダムでの社会的な死につながる。チンパンジーの掟が色濃い人間社会で暮らしていると、自然とマウントを取る振る舞いが身体に染みついて攻撃的なおじさんになる。それがチンパンジーキングダムで生き残る唯一の手段だからだ。

いまの我々に必要なのは、非攻撃的でマウントを取らないおじさんとしての生き方だ。政治思想とか右とか左ではなくて、チンパンジーとボノボの違いみたいな対立軸だ。
この記事にでてくる社民党の男性後期高齢者の接し方には見習うべきものがある。社民党には投票したことがないが、この記事がいずれおれたちの魂を救うと信じて、またリンクを張っておく。
関係ないけど「リンクを張る」はWWWのワイヤーを張るイメージがあって、「貼る」よりも好きな表現だな。ほんと関係ないね。

自分もホモ・サピエンスの一員なので、内なるチンパンジー性を秘めているのは否定できない。
このまま無自覚に生きていると攻撃性を増し、マウンティングし、武勇伝を語り、男性性を前面に出してマンスプレイニングをして、加害性に無自覚になり、被害者意識をこじらせて、人を傷つけることに喜びを見いだす魔物と化する。それだけは回避しなければならない。なってしまうのでそれだけは避けなければならない。
しかし急に「有害な男らしさやマチズモから脱却して生きよう!」と言われても、一朝一夕で変われるものではないし、脳の原始的な部位にインストールされた本能から逃れるのは簡単ではない。
自分一人だと心細いし、どうやったらいいのかわからないけど、己の内なる闇の日本人男性の血を自覚しつつ、直せるところから改善していこうな……!