ステラ女学院高等科C3部の感想文。

ステラ女学院高等科C3部(しーきゅーぶ)を観たが、最高の百合アニメだった。ネットでは爆死したクソアニメ扱いされているものの、主人公が闇堕ちする後半から最終回(※12話)までは終始泣きっぱなしでゆらちゃんに感情移入していた。
どこに感情移入したのかというと、ゆらの自我観念の薄さだった。
大和ゆらのキャラクターは方向性がぶれまくるのだが、これは彼女が一生懸命に環境に適応しようとした結果だ。自閉症スペクトラル気味だと自我の観念が薄いので、自分自身を環境に合わせて最適化させてしまう。自分がどうしたいのかではなくて、この場所で望まれているだろうと自分で勝手に思い込んだイメージに向かって、全力で猛突進していく。

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GAFAやTwitterは広告主しか見ていない。

広告収入が主な収益源になれば、検索結果が役に立たないものであったほうが都合がいい。検索しても望む結果は得られないし、複雑怪奇なページランキングを理解してSEO対策をするのも骨が折れる。そんなことに労力を使うぐらいならば広告料を払いましょう!……と促すのがインターネット企業の基本戦略だ。
検索結果がノイズだらけになったり、ログが簡単に埋もれるようになれば相対的に広告やプロモーションの価値が上がる。

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リソース最適化ゲームとしてのFinal Fantasy XII

リソースを最適化することから得られる快楽がFF12の醍醐味で、ユーザーは限られたリソースを効率的に運用してリターンを得なければならない。単調な稼ぎを繰り返して最高の装備で身を固め、すべてのライセンスを取得して最強キャラを育成するのは邪道だ。
限られた持ち物から最適な装備品の組み合わせ、ライセンスの取得、立ち回りやガンビットの設定を組み立てることの方がおもしろい。盾役に防御力の高い装備を重点的に支給して、それ以外のキャラは初期装備でもなんとかなる。
オリジナル版のFF12は、MPの足りなさや金策の乏しさ、経験値を稼いでごり押しすることが批判されるのだが、リソースの最適化を行わないでプレイしていれば自ずとそうなる。
FF12はリソースマネジメントゲームで、限られた資源を最適化して最大限の効果を生み出すことがユーザーに求められる。パーティ全員分の防具をそろえるお金が無くても、「じゃあ一人にいい防具を装備させて、そいつに敵の攻撃を全部集中させるような戦略を立てよう」「アタッカー用に性能のいい武器を買って、攻撃に集中できるような環境を作り出そう」という発想で、リソースを最適化させていく。 目に見えるステータスに変化がなくても、行動から無駄が省かれ、役割が最適化することで消費MPやアイテム、装備に使うお金が少なくなり、より快適に探索できるようになる。その工夫の部分がおもしろい。

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フィルタリング戦記タクティクス

Certain things catch your eye, But pursue only those that capture your heart.
目を奪われるものがたくさんあるだろう。しかし、心奪われるものだけを追い求めなさい。
『ネイティブアメリカンのことわざ』

・スルー力は有限リソースである。
このエントリでは日々使っているフィルタリング方法を紹介する。
古のインターネットユーザーは「スルー力が大事」だと口を酸っぱくして私たちに教えた。それは真実ではあるのだが、スルー力には限りがあって使うたびに失われていく。それを念頭に置かなければ、スルー力が尽きてインターネットの暗黒面に取り込まれる。
不快な言説に反応しないための忍耐力は消耗品だ。スルーすることが大事だと言われても、目に入った時点で注意力を奪われてしまう。自制心を働かせ、注意深く振る舞い、行動を律さなければならないような状態に追い込まれてしまった時点ですでに劣勢に追い込まれている。
ここではフィルタリングを用いて精神衛生を害するコンテンツを遠ざけ、スルー力の摩耗を抑える方法についてまとめておく。

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2019年参院選の雑感と文章

・2019年参院選の雑感(開票前)

7月6日(土)に期日前投票を済ませた。
これは自分の備忘録として書いているので、他人の投票行動をどうにかしようという意図はまったくない。ここ数年は「特定の政党が極端な勢力を持たないようにする。一人区は勝てそうな野党系候補(立憲民主党とか)、比例区は日本共産党に投票する。選びたい候補がいない場合は誰が議員になって欲しくないかを考える。棄権するぐらいならコインの裏表で決める」というスタンスで選挙に臨んでいる。
政治的な話題については「勝手にしやがれ」と思っているし、アイドルグループよりも活動期間が短い政党は信用していない。

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・プリキュア神学入門

『フレッシュプリキュア! プリキュアコレクション』を読んだ。
これは一時期、一万円以上の高値で取引されていた曰く付きの代物だ。放送十年後になって値段が落ち着いてきたので、いまさらながら読むことにした。
こいつはすげえ作品で、上北ふたご先生解釈の異約・フレプリだった。マンガの形をした精神療法だった。自分は幸せになる資格が無いと思っているフレンズはいますぐに読め。面白いとか面白くないというレベルの話では無い。金で買える救いがここにある。

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百田尚樹の非凡さと日本国紀について。

日本国紀とその副読本を読んでいてゲロを吐きそうになっていた。詭弁とレトリックの見本市みたいな構成だ。批判についてはリベラル派の方々がさんざんやっているのでここでは触れない。歴史観や政治思想は自分が信じているものとは正反対なのだが、偏った創作歴史だと切り捨てるのは間違っている。
自分の常識や知性・知識がスタンダードなものだと過信しすぎるのが、リベラル派が陥りやすい陥穽だ。よく大学教授の知識人がリベラル左派的な主張をするけれども、彼らが知っているいちばんあたまの悪い日本人は「大学に入学できる知能があって、その財政負担に耐えられる家庭で生まれ育った学生の下位グループ」だ。サンプルが偏っている。
ABCの次が何なのかわからない高校生を想像したことがないし、日本社会の底辺がどんなものなのか知る術もない。現代日本におけるリベラル左派の退潮は、ごく限られた層だけにしか届かない主張をしていることに無自覚な点だ。
その点、放送作家だった百田尚樹は大衆の平均的なリテラシーを推し測る精度が高い。正しいのか間違っているのかという次元ではなくて、「ターゲット層のリテラシーを理解して、彼らが受け取りやすいようなメッセージを発信する」というマーケティング戦略が、左派よりも洗練されている。

日本国紀に書かれている歴史観はわかりやすい。少し読めば理解しやすいように歴史を過度に単純化していることは明白なのだが、文章に独特の快楽がある。
頭に負荷がかからないレベルに圧縮された歴史観を受け取ることで、クリアな見通しを与えてくれるような錯覚が得られる。一言で言い切れる単純な世界観を提供して、余計なことを考える責務から解放される。偽物だってわかっていても、「日本すごい! 中韓最悪!」といった単純な世界観の放つ誘惑には抗いがたいものがある。
たとえそれが偽物だとしても、国民としてのアイデンティティーや歴史観にクリアな価値観を提供する。その一点でも、百田尚樹はマーケティング戦略のツボを心得ている。日本人の平均的なリテラシーを推し測る観察力と、複雑な歴史を消費者が飲み込みやすいように編集する技術、それを商売として成り立たせるマーケティングの才能は、そこいらの左派では太刀打ちできないぐらいに突出している。
リベラル左派は「正しいことを繰り返し訴えていけば、みんなもわかってくれるだろう。なにせ我々は正しいことを言っているからね」という姿勢に甘えてきた。性能はいいが広報に手を抜いた商品のように、戦後民主主義を扱ってきた。でも百田尚樹は「政治思想は商品であり、マーケティング技術を駆使して広めるもの」だという価値観で政治思想市場シェアを奪おうとする。
リベラルは「人間は理性的な存在で、冷静に話し合えばお互いに納得できる妥協点を見いだせるだろう」という世界観で生きている(と思う)ので、思想を商品のように見なせない。それで恒久的なハンディキャップを抱えることになる。
もし日本国紀を読んで納得できないとしたら、それは自分が商品のターゲット層ではなかっただけの話だ。「べつにおまえなんかに理解してもらわなくても、主要なターゲット層に支持されれば問題ない」と割り切って作られている。
日本国紀を批判する層はアカデミックな正しさの次元で戦っているけれども、百田尚樹はそんな狭い戦場は無視してマーケティングに基づいた戦略で新規ユーザーを獲得している。その落差に気がつかない限り、リベラルの退潮は続くように思った。
書かれている歴史観には納得できないけれども、使われている技術やマーケティング戦略については見るところがあるよ。

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ゆるゆり♪じみんとう☆おうえんだん!

有名クリエイターが自作のキャラに政治的な言説を喋らせて謝罪に追い込まれていた。応援していたアーティストや漫画家が自分と異なった主義主張を喋る始めるのは、NTRものに通じるショックがある。つまり、好きなアーティストが、自分とは相容れない政治的主張を語ることに快楽を感じるような性癖になったりしないのか心配だ。
愛好している作品のキャラが相容れない政治思想を語るかもしれない。そのときに備えて万全のシミュレーションを重ねておかなければならない。最悪の事態を想定し、対策を考える。これを怠ったが故に第二次世界大戦で敗北し、原発事故が起きる。

もし仮に「ゆるゆり♪じみんとう☆おうえんだん!」が出てきた場合に、私たちは心中穏やかでいられるのか。作中でさくひまが婚姻届を書いていたエピソードがあるから、保守的な結婚観を固持する自民党に肩入れするわけねえだろ!と思うのが道理だとしても、好きなキャラが自分とは違う政治理念を語るのは悲しい。空き屋を占拠してごらく部を作る脱法精神が、安倍政権に通じるものがあると言われればそれまでだ。

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