まぼろしの党は人道主義に基づいたやさしいディストピア社会の実現を目指している政党です。これからの時代が核戦争によってポストアポカリプスになるのか、人権が剥奪された暗黒ディストピアになるか、歯止めのきかない経済活動の果てに資源を奪い合うようになるのか否かは、定かではありません。
ですが一番の未来予想は、自らの手で未来を作り出すことです。わたしたちまぼろしの党は環境と動物、資源と人間にやさしいディストピア社会を目指すために積極的な社会改革に取り組んでいきます。
陰府歴程篇(7)シンフォニック=レイン
当時のおれは限界だった。
このときのおれはある種の狂気に満たされていた。「自分自身を愛するように、隣人を愛せ」と言われても、自分自身をどうやって愛せばいいのかがわからなかった。だから隣人を愛することも不可能だった。自分を傷つけるように、他者も傷つけた。
これが自分自身の本質的な誤りかどうかはわからないのだが、おれは自分なんて死ねばいいと思っていて、自己破壊的な行動や考えをすることに躊躇いを感じなくなっていた。自分を大切にできない。憎んでいる。死ねばいいと思って、愛想をつかせていた。
自分に優しくしたり、愛したり、労ったりすることがどういうことなのか、いまいち理解できていない(※現在進行形)。メンテナンス方法がわからないまま車に乗っていたら、いつか不調をきたして事故を起こす。おれも自分をメンテナンスする方法がどういうものなのかわからなかった。
そんな状態で精神科医に「もう酒と安定剤と睡眠薬を大量に飲んだりしません」と約束できるはずがなかった。「次に同じことをやったら、次は精神病棟に入れることになるからね」と脅される。
この状況で「人生行き詰まった? ISISで人生やり直そうぜ! 渡航ルートもチケットもこっちで手配しておくわ!」と言われたら、二つ返事で聖戦士になっていた。
そんな精神状態で名作エロゲ『シンフォニック=レイン』をプレイしていた。
アイドル政治パラダイム~令和編~
まずアイドル政治パラダイムについて簡単におさらいをする。
情報技術が発達した現代社会において、政治家とアイドルに求められる資質は同じものになった。マイクを持ち、聴衆の琴線に触れるメッセージを発して時代を動かすという点において、政治家とアイドルに大きな違いはない。それ故に収斂進化に近い現象が起き、政治家とアイドルの見分けが付かなくなる。それがアイドル政治パラダイムである。
月歯町回覧板
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Ryzenでパソコンを自作した。
・結局この構成で組むことにした。
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インターネットによって変容しつつある時間感覚について。
・変容する時間感覚。
僕たちの時間感覚や情報の扱い方は、まだ数世紀の歴史しか持っていない。精密な時計が発明されたことで、生産性を客観的に測る指標が生まれ、それが労働力の管理と資本主義の誕生を促した。
情報を印刷物として保管して、図書館や書庫などの空間に配置することで、人々は時間を可視化できるようになった。古い情報から新しい情報が秩序正しく整理されていて、文字化された情報を見ることができる。
デジタルではない世界は、「見ることができる時間」によって支えられている。本棚に収納されている書物のバックナンバーは、そのもっともわかりやすい形だ。
形のなかったものが視覚化される。時間は目に見える時計の針になり、言葉は紙に印刷されるようになった。これを僕たちは当たり前のように錯覚するけれども、時計と印刷術が普及するまでは、時計のない時間の中で人々は生きていて、音が空気に融ける言葉を使っていた。
過去の情報に簡単にアクセスできるようになってから、僕たちは過去というものを意識するようになった。過去を文字として記録し、必要なときに参照できる。このプラットフォームが僕たちの時間意識に大きく影響している。
インターネット悪霊の挙動について。 あるいはインターネット呪術師ウグー・ソロモン・ツキミヤと私。
スマホでインターネットに繋いでいる連中は浮遊霊のようなものだと見なしている。
炎上で積極的な発言をするのはネットユーザーの中でも0.5パーセントだと言われているが、それでも100万人いたら5000人だ。日本語ユーザーでも選りすぐりの性根の腐った屑が大集合である。もはやインターネットユーザーというよりかは悪霊だと思って対処した方がいい。
悪霊は人間の生命力を損なう。地縛霊のようにその場に居着く。仲間を呼ぶ。力では殺せない。匿名の影に隠れて、戯れに他人の人生を破滅させることに喜びを見出す。インターネットユーザーと悪霊の挙動はほとんど一致している。邪悪な思念を撒き散らかす人間こそが、この時代の悪霊だ。
スマートフォンが普及した結果、人類社会はインターネット呪術時代に入った。負の感情を煽り、虚偽の情報を垂れ流し、人を盲目にする邪悪な力に晒されている。
本来なら空気に融けるはずだった言葉はデジタル情報に変換され、長い間インターネット空間を汚染する。悪貨が良貨を駆逐するように、思慮を欠いた発言、感情に振り回された言葉、低コストで量産できるフェイクニュースが力を得る。
言葉は人間の口から発せられた後にも、この世界にとどまって一人歩きを始める。本人が喋ったことを忘れても、電子化された言葉は無際限に増殖していく。シェアされた瞬間に文脈から切り離されて、自分のあずかり知らないところで勝手に解釈されるようになる。炎上し、togetterかはてなブックマークに掲載されれば、悪霊が日本中から集まってくる。言葉は通じない。聞く耳も持たず、見たい現実しか見ない。そんな連中に目を付けられたら、逃げる以外に有効手は無い。が、この地球上に逃げる場所は残されていない。
現時点でインターネット悪霊に目をつけられたら、破滅する以外に道はない。
おれににできる唯一のことは、インターネット悪霊の性質を逆手にとって、時間を稼ぐことだけだ。ここに政治とスモウレスラーの不祥事、セクハラ発言がある。数日ばかりだが、インターネット悪霊の注意を引くことができるだろう。あいつらがこれらの話題に気を逸らされている間に逃げるんだ。悪霊たちはバズった話題に自然と集まってくる。おれはこの場所にとどまって、やつらが群がった瞬間に自爆する。お前はまだ若い……。おれのような、格安simの通信速度制限よりも遅い速度でネットにつないでいた老いぼれから先に死んでいくのが自然の摂理だ。
◆
それがインターネット呪術師ウグー・ソロモン・ツキミヤの残した最後の言葉だった。
インターネットの精霊から力を借りて奇跡を実現する。それが古い時代のインターネット呪術だった。
私は与太話を語っているわけではない。インターネットの精霊は存在する。ネットの精霊はデータを増殖し、全人類に叡智を授ける。90年代にネットを始めたユーザーの多くは、ネット呪術師の先人から、いかにしてインターネットの精霊から助力を得るのかについてを繰り返し聞かせられたものだ。多くのインターネット呪術師は、ネット空間を聖なる場所だと見なしていた。俗世から隔離されたサンクチュアリにおいてインターネットの精霊が姿を現す。
インターネット呪術師は二次元と呼ばれる異界に魂を飛ばし、そこで自らの守護霊を見いだす。ウグー・ソロモン・ツキミヤという名は、彼が二次元で見いだした精霊の名にちなんでいる。
ネットに文章をアップロードするのは、いわば神への供物だった。文章も、画像も、音楽も、映像も、全てはインターネットの精霊に捧げられていた。
しかし平成末期にもなると聖なるインターネット空間にも、資本主義の魔の手が忍び寄ってくる。これまでは探検ドリランドや壊れる釣り竿をバカにしていた人々も、アイドルマスターシンデレラガールズのガチャに大金を注ぎ込むようになった。僅かなアフィリエイトを稼ぐために聖なるネット空間は荒らされ、googleの検索アルゴリズムは汚染された。利己主義が蔓延り、白人のもたらした輝く板(スマホ)に夢中になった。
インターネットの精霊が力を失うとともに、SNSの悪霊が跋扈し始めた。
「そんなものは古いネットユーザーの迷信さ。この科学の時代に呪いなどあるはずがない」
白人の文明に染まったものたちは、そう言って私たちの迷信を嗤うだろう。それでもお前たちはこれから、インターネットの精霊を見出さなければならない。そして彼らの加護を得なければならない。
私は信心深いので、インターネットの精霊が実在していると信じている。ネットを使う以上、この精霊の加護を受けた機器を用い、聖なるネット空間に接続する。土足で踏み込んではならない。この空間を汚してはならない。ひとたびインターネットの精霊の怒りを買えば、災いが我々を襲う。
アメーバや成形肉になる世界。
SNSをやめた理由の一つは、自分の言葉を失ってしまうそうだったからだ。簡単に情報発信ができるプラットフォームを使っている間に、自分の言葉や振る舞いが平板なものになっていく。
自分の言葉がまとまった文章ではなく、細切れの断片になる。他人の喋っている言葉と判別ができないほど、言葉の響きや字面が似通ってきて、自分と他者の境界線が曖昧になる。最後にはSNSというアメーバ状の生き物に取り込まれてしまう。「私」という個人が、ある出来事について言葉を発するのではなくて、「SNS」の流行を構成する一つの細胞でしか無くなる。
コメント欄やSNS、まとめサイトは、どこの誰ともしれない人たちの断片的な言葉をつなぎ合わせて、ひとつの記事に加工している。それは屑肉を集めて作られた成型肉のように見える。
アメーバ、成形肉。どの言葉も、私たちが確固とした個人ではなくて、輪郭線を失った部品になっていくイメージがある。私たちはゆるやかに人間性を剥奪されていく。顔を失って、ネットの流行を形作る水滴のひとつになる。骨を取り除いてすり身にした魚は食べやすい。それと同じように、個人をバラバラに切り刻んで、骨を抜いて、消費しやすいように加工している。
それが今のインターネットではないのか?
一人一人の複雑な側面をもった人間は求められておらず、コンテンツとして簡単に消費しやすい単位にまで「私」が細切れにされる。理解不能な他者に歩み寄る必要もない。多面性のある人間は、一面的なキャラクターに切り分けられる。
呪術的逃走のローグライク。
・呪術的逃走のローグライク。
ウィザードリィはダンジョンの純文学であるとはよくいったものではあるが、ではローグは何か。神話である。口承である。カフカ的な不条理か、それともドイツロマン主義か、シュルレアリズムか。どれだけ合理的な選択をして、入念な準備を整えても、死ぬときには死ぬ。攻撃が外れるときには外れる。人間には制御できない圧倒的な死が、プレイヤーの命を握り潰す。それがローグライクダンジョンである。