BL師匠日記

・出会い系サイトで女性として登録して遊んでいたのだが、男からメッセージが大量に届くので驚いた。男の性欲を目の当たりにして、この男性器に支配されている生き物の存在を悲しむ。差出人のおっさん、運営に高い金を払ってネカマのおっさんに性交要求メッセージを送っているんだよな。
 結局おれは腐女子のふりをして、日記帳にユーリ!!! on ICEのオメガバース妄想を書き綴っていた。オメガバースとは男に発情期があり、直腸に子宮のような器官が生まれ、妊娠できるようになるというBLの設定である。ユーリ!!! on ICEの世界は男に発情期があり、肛門性交で妊娠する。ヴィクトルが勇利の子供を孕んでハッピーエンドになるという妄想感想文を延々と出会い系サイトに投稿するおっさん。この世界の果てにいる魔物と化す。

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割りきらないために。総理大臣のえる!乙女の怒りは最終兵器 読書感想文

 これまでのラノベ人生で根底から魂が揺さぶられた作品がある。「総理大臣のえる!乙女の怒りは最終兵器」だ。女子中学生が魔法で総理大臣になりマイナス消費税を導入したり、ドナービジネスをぶっ潰したりするコメディ小説なのだが、第三巻のテーマは世界同時多発テロだ。
 中東人の親友がテロの犠牲になって、のえるちゃんは単騎でアフガニスタンに突入して、タリバンを相手に戦いを繰り広げる。国名は違うがだいたいこんな話だ。

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私立ヤーポネ確率経済大学ロシアンルーレット入試枠

 私立ヤーポネ確率経済大学に合格した。
 確率経済学というのはぶっちゃけると賭博行為の言い方でしかなく、学生たちからはギャン大と呼ばれている。ギャンブラー大学の略だ。
 国営カジノ誘致政策が現実味を帯びるに連れて、ある一つの問題が浮かび上がった。観光客からなるべく多くの金を搾り取れるようなカジノの経営技術を持った人材や、ディーラーの育成が喫緊の課題となり、根強い世論の反対を押し切って確率経済学部が創設された。

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たぶんプロレタリア文学っぽいやつ。

「あ……んっ……ちゅぱ、ちゅぱぁっ……」
 作業場に設置されたジュークボックスから、なぜかエロゲのフェラチオ音声が垂れ流される。低賃金の非正規雇用部隊――通称「傭兵」によって設置されたジュークボックスにはそれぞれが仕事中に聴きたい音楽データが日夜突っ込まれ続け、民族音楽から前衛音楽、エレクトロニカ、エロゲBGMを無作為にシャッフルする魔物と化していた。
 仕事中にエロゲのBGMを聴きたいと思った傭兵がサントラをぶち込んだまでは良かったが、それと同時に特典の18禁ボイスまでHDDに収められたことには再生されるまで気が付かなかった。
 このジュークボックスは仕事が修羅場の時に、使徒が攻めてきた時のテーマを再生し始めるという点では、非正規雇用部隊の中で最も空気を読めた。

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ジョン・ヤカモトと俺。

 岩手-宮城間国境を飛び越えて、東京都(ひがしきょうと)に難民として紛れ込んだのが十七歳の時だった。ソビエト連邦が崩壊したあとの岩手は政情不安定に陥っていて、岩手解放戦線による略奪と暴力に怯えながら生きてきたのだ。
 厳重に警備された岩手-宮城間国境は、丑三つ時だと言うのに皓々としたサーチライトで周囲が照らされ、粗悪な中国製カラシニコフで武装した軍人によって守られていた。俺は幼なじみのジョン・ヤカモトとともに東京都で裕福な暮らしを贈ろうと約束をしていたが、警備兵に見つかって左脚のふくらはぎに鉛弾を受けてしまった。破ったシャツで傷口を止血し、なんとか一命は取り留めたものの、ジョン・ヤカモトとは離ればなれになってしまった。あれ以来、ジョン・ヤカモトとは会っていない。生き延びたのか、それとも宮城にたどり着くことができずに死んでしまったのか。俺にはわからずじまいだった。

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自爆道

 愛国者で保守派のおれが、国防政策を考えるコーナー。ブービートラップ道に次ぐ、第二の国防政策は「自爆道」である。
 イスラム国は壊滅したが、その残党や支持者たちは各国で自爆テロを引き起こしている。組織に属さなくも、ネットで情報を得て爆弾を作り、自暴自棄になるか、あるいは盲信に身を委ねて命を投げ捨てる。
 東京オリンピックでの自爆テロが懸念される中で、国際社会の一員としてどのようにテロを未然に防止していくべきかについては、可及的すみやかに対抗策を立案しなければならないだろう。

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Maborotopia極右政党の政治的主張

「創造論原理主義者のネタをやるときは、顔文字や、ユーモアだってはっきり分かる表現を入れておかないと、本気で言ってるって誤解されるのは完全には避けられないよ」
ネットの投稿が“ネタ”か本気かを判断するには、「ポーの法則」が役に立つ|WIRED.jp

・ブービートラップ道の義務教育化について。

「非武装中立で相手が攻めてきたらどうするんだ。敵を殺さない限り、自分が殺されるような状況に陥ってもまだ反戦平和を貫くのか!」といったたぐいの論議があるけれども、冷静に考えると謎のシチュエーションだ。
 政治風刺をしたお笑い芸人が、政治討論の番組で「反戦平和を貫いて、敵に殺されるのか否か」を問われていた。
 まず生粋の反戦主義者であるウーマンラッシュアワー村上が、敵対勢力の兵士を殺すか、そのまま殺されるのかという二択が成立する状況に追い込まれている。これが何を意味するのかというと、本土決戦のまっただ中だ。自衛隊は壊滅し、日米安保は機能せず、国際社会からも見捨てられて、敵対勢力の軍隊が次々と本土に上陸してくる。地上戦になっているということは、空爆のセットで、主要なインフラはだいたい破壊され尽くした直後と考えていいだろう。

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陰府歴程篇(5)アイカツ!ぬりえ療法

 アイカツキャラの背後に神の恩寵を垣間見るぐらいには、精神的に追い込まれていた。俺は哀れな薬物依存症で,彼女たちは光り輝くアイドルだった。薬物依存症になったあとにも、アイカツやらリルリルフェアリルを見て、心を癒していた。酒も薬もやめたが、女児向けアニメだけは熱心に鑑賞していた。
今日はアイカツぬりえ療法をする。
 ぬりえ療法とはぬりえを通じて精神安定を図る行いだ。ストレス社会にいきる我々はぬりえを通して、色彩のなんたるかに近づいていく。灰色の建築物に囲まれている間に色彩に対する感受性を喪失し、この世界の細部を喪失していく。それは緩やかな自殺なのだ。排ガスと雑音にまみれた汚い町並み、調和という概念のかけらもない景観。経済成長のために人間性を容易く売り払うことが出来る国民性。この景観後進国に産み落とされた悲哀を嘆いている暇はない。我々はこれからアイカツ!塗り絵を通して、奪い去られた感受性をとりもどすための戦いを繰り広げるのである。
 百円で買ったアイカツ!塗り絵をしているだけで、むやみにオンライン麻雀をしなくなった。それだけでも元が取れている。今の私は虚無の埋め方をただアイカツぬりえにだけ求めていた。アイカツぬりえをしてるときにだけ自分の空虚な人生が塗りつぶせたような気がした。

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陰府歴程篇(4)自殺サイトの底で

 逃げ続けていた精神科に顔を出したが、何も喋りたくなかったし、喋れることが無かった。
「自殺すると、周りの人間に悪い影響を及ぼすよ。だから自分から死を選ぶときには自己責任があるよ」みたいなことを精神科医から言われたのだが、自爆テロリストに「自爆すると死傷者が出るよ」と説得しているように聞こえて、乾いた笑い声が出そうになった。
『自殺って言えなかった』という自死遺族の手記集を読んだのだが、「生きている人間側の都合だ……」「おまえの苦しみは、俺の苦しみとは何一つとして関係がない」としか思えなかったし、追いつめられたら「罪悪感で苦しめ、ざまぁwww」ぐらいの捨て台詞を残して死にそうではある。
 周りに迷惑をかけるから死なないで欲しいという理屈が成り立つのだとしたら、銃を乱射するなどして他人から恨まれた後に射殺されれば解決できるはずだ。「死なないで! なんとか自殺対策」と言われても、生きている人間の理屈にしか聞こえなくなって、途端に言葉に説得力が無くなる。
 僕たちの世界には、生者の国と死者の国がある。
 この時の僕は冥界に右足をつっこんでいて、左手はまんがタイムきららに触れ、左足のつま先で地獄に立ち、残った右手の人差し指でかろうじて現実にしがみついて生きているような状態だった。

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陰府歴程篇(3) 暗やみだけがわたしの仲間

 いつまでも自殺未遂をしているわけにはいかない。現代医療も科学も精神療法も自分自身ですらも頼りにならないので、教会に行った。
 この教会はingressをしていたときにポータル申請をしたところで、教会の写真を撮影していたらクリスチャンのおばさまに捕まったところだ。どうしてこの時に教会の門を叩いたのかは定かではない。神に救いを求めていたわけでもない。たまたま気まぐれで入った教会で、偶然にも時間が空いていた神父様に話を聞いてもらった。

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