陰府歴程篇(3) 暗やみだけがわたしの仲間

 いつまでも自殺未遂をしているわけにはいかない。現代医療も科学も精神療法も自分自身ですらも頼りにならないので、教会に行った。
 この教会はingressをしていたときにポータル申請をしたところで、教会の写真を撮影していたらクリスチャンのおばさまに捕まったところだ。どうしてこの時に教会の門を叩いたのかは定かではない。神に救いを求めていたわけでもない。たまたま気まぐれで入った教会で、偶然にも時間が空いていた神父様に話を聞いてもらった。

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陰府歴程篇(2)ご注文は自殺未遂ですか?

 アルコール依存になっていた。
 皆が想像するような、酒がないと手がふるえるようなアルコール依存症ではなくて、朝に目が覚め瞬間に自分の意識があるのが嫌だという理由で黒霧島と睡眠薬を胃に流し込んで、意識がもうろうとした状態で一日を過ごしているようなアル中だった。アルコールがないと精神的に耐えられなかった。素面の状態がつらい。意識が存在しているという事実そのものが耐えられない。酒を飲んでいるときだけは脳を麻痺させることができたので、積極的に胃に焼酎をぶち込んでいた。精神安定剤と一緒に飲めば効果が倍増するし、眠れない夜もアルコールと睡眠薬を併用すれば安らかな眠りに入れる。意識を切断するには酒に限る! アルコールだけが生の苦しみを和らげてくれる。酒、最高! と思っていたのだが、やっぱり何かから逃れるために飲む酒には破綻が伴うのだった。
 大事なことなのでもう一度繰り返す。逃げるために酒を飲んでいると、遅かれ早かれ破綻する。

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陰府歴程篇(1)自殺マン

 抗鬱剤が効かない体質だった。
 ルボックス、デブロメール、パキシル、トフラニール、アナフラニール、ドグマチール、リフレックス、トレドミンなどの数々の抗うつ薬に希望を託し、その度に絶望を重ねていた。この時は単純な鬱病だと思っていて、自閉症スペクトラムの二次障害だということに気がついていなかった。
 目を醒ましても身体が動かない。太陽が沈んだ時間帯から少しだけ楽になる。簡単な料理を口に押し込む。死んだ目で万年床に横たわり、効かない抗鬱剤を飲み続ける。そういうヘヴィな鬱病だった。当時の僕は「こたつの電源ケーブルで首でも吊るか」と思っていたが、首を吊れるほどの意欲と気力が無かった。抗うつ剤で意欲的になり始めたあたりが一番自殺しやすいと言われる所以である。
 希望の無い闇に閉ざされた世界に生きながら、13インチぐらいのブラウン管テレビをぼんやりとみていると、偶然ひだまりスケッチが映った。のちに魔法少女まどか☆マギカのキャラクターデザインを担当した蒼樹うめ先生のアニメ化作品だ。

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アイカツ!の宇宙秩序(コスモロジー)について・おけおけおっけー編

「真理はあなたたちを自由にする(新共同訳、新約聖書 ヨハネによる福音書第八章32節)」

 正しい方法でアイカツを視聴できるのならば、それは真理になる。アイカツ!を聖句として読み込み、そこに神の啓示を見いだすのがアイカツ!の由緒正しき視聴法である。アイカツ!を神から与えられた聖なるテキストとして尊重し、無限の意味を見いだしていくのがアイカツおじさんである。
 アイカツを初めて見たときには、誰しもがただの女児向けアニメーションだと思う。私もそうだった。玩具販促用に作られた女児向けアニメであると、カオスアニメの亜種だと、百合アニメだと勘違いする。しかし一週間に一回、規則的なリズムで百話ぐらい地味に見ている間に、いつの間にか魂とアイカツ!が共に歩むようになる。
 キリスト教徒が毎週ミサに通って聖書を読むようなレベルでアイカツが身体化し始めたあたりから、ついついアイカツのテーマソングを風呂場で口ずさむようになってから、突如としてこれまでバラバラだったアイカツの断片的な世界が1つにつながり、アイカツの宇宙秩序(コスモロジー)という名の電撃に身体を穿たれるのだ。
 これは人間賛歌だ。肯定の歌だ。人間の善性だ。無神論という暗闇の時代に、きらめきを放つのがアイカツの星々(スターズ)である。
 ミクロネシアの原住民は星を頼りにした航海技術であるスターナビゲーションを体得していたと言われる。我々は暗黒に閉ざされた現代社会を、アイカツの星々を信じて進んでいくしかないのだ。

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プリキュアと世界秩序について。

※おれがプリキュアと言っている箇所は、「全人類にとって普遍的な聖性のイデア」とかそんな感じの意味に置き換えて読んでください。

 政治の話とかだいっきらいなんだけれども、何か語らざるを得ないという強迫観念に突き動かされている。(※枕詞)
 おれはべつに政治経済の話に興味があるわけではない。「この世界を支えている力」と「おれたちの世界を歪め、損なっていく力」の話をしたいことに気が付いたのは最近だ。政治・経済・宗教その他諸々は、「この世界を支えている力」のサブカテゴリーでしかない。

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女児向けアニメを聖句として読み解く

・アニメを観ているというよりも、ある種類のアニメと宗教の区別が付いていない。おれはよく「アイカツ!を聖句として読み解く」という表現をするのだが、アニメはおれたちの世界とは異なった世界秩序を持っていて、世俗とは異なった言語によって我々に語りかける。
 女児向けアニメだとバカにしたものではない。いばら姫やシンデレラなどの童話にも、深層心理学的な洞察が隠されている。現代の童話である女児向けアニメに、真理と叡智が隠されていないと誰が断言できるのか。

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将棋日記

・将棋を指していた。超絶初心者なので、なんども覚えようとして挫折している。
 定跡がわからない問題、四間飛車と美濃囲いを覚えても攻めの手筋が分からないので、膠着状態を強いられながらじわじわと殺されていく問題。戦型対応できない問題に、意識の外から角が跳んできて大駒を奪われる問題、初歩的な戦法を覚えてもすでに対策されていて、最初から対策の対策の対策ぐらいを覚えていないと指せない問題などの、様々な課題が立ちはだかる。
 それを乗り越えて定跡を覚え、運良く「先手大いに優勢です」という局面までたどりつけるようになった。だが、ここからどうやって寄せていくのか、どうすれば詰められるのかが分からないので難儀している。
 玉を詰めようにも、駒の隙間から王が逃げ出していく。美濃囲いが堅くて攻められない。なんか雰囲気的に詰められそうな気がするが、詰め筋が分からない。そんな間にも時間切れで負けてしまう。中盤から終盤の棋力が20級も無い感じがする。
初心者限定で、「王は詰めを三回まで耐えられる」とか「墓地にある駒を永久にゲームから除去する」とか「新駒・狂信者。周囲1マスの敵味方を道連れにして自爆する駒」「パッシブスキル・オート三手詰め」などがないと勝負にならない。初期配置・穴熊とかも欲しい。

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サドちゃん日記

 中学の理科でカエルの解剖をやる時に、周囲の「嫌だ気持ち悪い、男子がやって」という声であふれる理科室で、率先してカエルの解体を始めたのがサドちゃんである。その姿は医者が患者から心臓を摘出するような繊細な手つきではなく、イスラム国の戦闘員が捕虜の手足を面白半分に斧で切断するような、そんなやり口だった。

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パーソナリティ分断症候群

 パーソナリティ分断症候群になっていた。自分が勝手に考えた名称なので精神医学的な病気ではない。それでも「正しい自分は何者なのか?」が分からなくなって、どう振る舞うのが正解なのかで迷っていた。

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親指シフトを習得する。

十年以上ローマ字入力方式で文章を書いていたのだが、いつの間にか腱鞘炎になってしまった。タイピング速度と引き替えに右手の人差し指に過大な負担が
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